【本の感想】ダニエル・ペナック(著)浜名優美、木村宣子、浜名エレーヌ(訳)『奔放な読書 本嫌いのための新読書術』

ダニエル・ペナック(著)浜名優美、木村宣子、浜名エレーヌ(訳)『奔放な読書 本嫌いのための新読書術』(藤原書店、1993年)を読みました。

パリの高校でフランス語担当の先生である著者の読書エッセイです。読書のテクニックが書かれている読書術ではありません。親の立場からの話と、教師の立場からの話に分かれており、どちらも納得できる話が書かれています。

表現が大げさで読みづらいところを除けばよい本です。

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親の立場からみた子供の読書

面白いのが親の立場で書かれている話です。読書が好きだった子供がどのような流れで読書が嫌いになったかが分かります。

読書が好きだった子供

親の関わり方の大事さが分かります。

  1. 子供が片言の言葉をあやつり始めると、親は子供のお抱え物語作者となり、
  2. 子供から同じ物語を求められてると、親は他の物語を話したがり、
  3. 子供から他の物語を求められると、親は対応しきれなくなりストレスを感じ、
  4. 子供が文字を覚えて本を読むまねをすると、親は子供を一人にし、
  5. 子供が文字を読むことに息切れすると、親は矢継ぎ早に催促する高利貸しのように子供に意味の理解を求めて責する。

……そして子供は読む努力に茫然自失して押しつぶされる。それを親はテレビや刺激的な環境のせいにする。だから「読書をしないとテレビは無し」と言ってテレビをご褒美にしてしまう。

物語をせがみ、物語を読みたいがために文字を覚えた子供も読書が嫌いになるわけです。そして、そんなはずじゃなかったという親の心の声が聞こえてくるようです。

子供がよい読者であり続けるために

ではどうしたらいいのかというと、p57に子供がよい読者であり続けるために必要なことが書かれています。以下は引用です。

「子どもは容赦しない、聞き上手です。」

子どもは、初めから、よい読者である。周囲の大人たちが自分に能力があることを自分で確かめるかわりに子どもに感激を与え、暗唱を子どもの義務にする前に学習意欲を刺激し、子どもに仕返しをする機会を待つだけでなく、子どもが努力しているときには一緒に連れになってやり、時間を稼ごうとするかわりに夜の時間を失うことに同意し、将来について脅しを振りかざさずに現代を感動させ、喜びであったものを苦役に変えることに同意せず、この読書の喜びを子どもが自分の義務とするまで維持し、あらゆる文化の学習の無償性に基づいてその義務を築き上げ、そして大人自身がこの無償性の喜びを再発見するならば、子どもはよい読者であり続ける。

書かれている通りだと思います。

教師の立場からみた子供の読書

そうして子供は育ち、読書が嫌いな若者になりました。では教師としてどうしていくのかが続けて書かれています。

子供にカリキュラムとして読むことを強制し、内容を答えることを強制し、理解不足を指摘される恐怖を植え付けます。そのようなやり方を著者は否定しています。

そういえば読書感想文も国語の授業もそのようなやり方でした。さいわい私は元々、本を好き勝手に読む方なので気にしたことはありません。しかし、授業は楽しいものではなかったです。

著者の結論

著者の出した結論は読み聞かせです。教師は生徒に読書を要求するのではなく、そこから得られる自身の幸福を分かち合おうと試みます。

高校生に読み聞かせというのも妙な気もします。しかし、本は想像力と好奇心を刺激するものであり、読書はその行為であるとすると、教師はその仲介役として朗読をするというのは面白い試みだと思います。

実際、それで興味を持った高校生がどうなったかが書かれています。人は想像力と好奇心の塊であり、強制されずにのびのびと楽しめる環境ならば、読書が嫌にならないというわけです。

それが本の題名である「奔放な読書」です。

読者の権利10ヵ条

「読者の権利10ヵ条」を引用します。

1ヵ条 読まない
2ヵ条 飛ばし読みする
3ヵ条 最後まで読まない
4ヵ条 読み返す
5ヵ条 手当たり次第に何でも読む
6ヵ条 ボヴァリスム(小説に書いてあることに染まりやすい病気)
7ヵ条 どこで読んでもいい
8ヵ条 あちこち拾い読みする
9ヵ条 声を出して読む
10ヵ条 黙っている

いちいちこのようなことが書かれてしまうほど読書は難しいのかもしれません。読書について難しく考えず、もっと気楽にすればいいのにと思います。

☆4

本好きだった子供が本嫌いになる。関心のない学生が関心を持つようになる。この二つが分かります。

子供に本好きになって欲しいのであれば、本を好きになる環境と嫌いになる環境、親がついやってしまうことなどを知ることも大切だと思います。

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