【本の感想】デイヴィッド・ベニオフ(著)田口俊樹(訳)『25時』

デイヴィッド・ベニオフ(著)田口俊樹(訳)『25時』(新潮社、2001年)を読みました。

彼が刑務所に収監されることで何かをしてあげようとする気持ちがある一方、ほっとする気持ちやもやもやした気持ちがあります。

そのような気持ちの人たちと、刑務所に収監される彼の想いが淡々と描かれています。

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同情と後ろめたさ

彼とのつきあい方によって情けのかけ方が違うのが印象的でした。

励みになる言葉をかけられたり、送別会がひらかれるなど、彼は恋人にも父親にも親友にも相棒にも仲間にもいいやつだったのでしょう。

とはいえそのかけ方は様々です。そして本人がいないところで語られる気持ちには後ろめたさがあります。

そして犬にはそれがありません。最後まで人ではなく愛犬のことを気にかけている彼の寒さは、舞台となった厳冬のニューヨークそのままです。

父親

犬以外では父親です。

息子との食事中の会話や母親の話、収監当日のやりとりは父親だからこそです。

父親の後悔、愛情、覚悟は無骨さと不器用さがあわさっています。気持ちが動かされます。

☆2

収監される彼はヤクの売人です。売人にも人生があり、きっかけがあるから収監されるのですが、彼の場合は同情の余地はありません。

そこにある友情や愛情はナルシズムに近いです。だからこそ彼は愛犬にもっとも気をかけたのでしょう。

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