【本の感想】ウンベルト・エーコ/ジャン=クロード・カリエール(著)工藤妙子(訳)『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』

ウンベルト・エーコ/ジャン=クロード・カリエール(著)工藤妙子(訳)『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』(阪急コミュニケーションズ、2010年)を読みました。

二人の対談は教養がないと分からないところがたくさんあります。しかし、その教養を抜きにしても伝わってくるのが書物愛です。

原題を直訳すると「本から離れようったってそうはいかない」だそうです。これだけ楽しい雰囲気で語られてしまうと、離れようがありません。

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博覧強記な愛書家たちの対談

古代ギリシャやローマ、キリスト教などの宗教、様々な伝承を織り交ぜた話はついていくのに苦労します。しかし、分からなくてもある程度は解説していますし、共通していることもあります。

そのためあまり気にはなりません。むしろその博覧強記ぶりに驚かされます。さらに、次から次へとそれらを織り交ぜて、本と情報のことを話し続ける二人の姿から書物愛を感じます。

今も昔もあまり変わらない

過去の様々な出来事や伝承から書物、インターネット、電子書籍の話は、たとえ二人ほどでもないにしても、本好きには納得できる、たまらない面白さがあります。

読み終えると「本は車輪と同じく完成されたもの」という意味が分かりますし、直訳したタイトルである「本から離れようったってそうはいかない」のとおりなんだと感じます。

『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』というタイトルは一見、自虐のように思えます、しかし、直訳のタイトルと車輪の表現から余裕です。

老齢の二人が優しく笑いながら「そうはいかないよ」と語っている様が目に浮かびます。

☆4

読書好き、特に紙の本を中心に好きならば、二人の書物愛に触れるだけで満足できるでしょう。

それくらい愛にあふれています。好きな人が好きなことを気兼ね無しに語る姿というのは読んでいて気持ちがいいです。

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